春の訪れと共に、真っ白な大きな花球を咲かせるオオデマリ。
その清楚で上品な美しさは、多くのガーデナーを魅了してやみません。
比較的育てやすく、毎年安定して花を楽しめることから、庭木初心者からベテランまで幅広く愛されています。
今回は、オオデマリの基本的な育て方から剪定のコツ、活用法まで、詳しくご紹介します。
オオデマリの基本情報

項目 | 詳細 |
---|---|
学名 | Viburnum plicatum |
科名 | ガマズミ科 |
属名 | ガマズミ属 |
和名 | オオデマリ(大手毬) |
原産地 | 日本、中国、朝鮮半島 |
分類 | 落葉低木 |
樹高 | 2~4m(剪定により調整可能) |
開花期 | 5月~6月 |
耐寒性・耐暑性 | ともに強い(全国で栽培可能) |
オオデマリの特徴と魅力
オオデマリの最大の特徴は、その名前の通り手毬のような大きな球状の花房です。
直径10~15cmにもなる真っ白な花球は、遠くからでも目を引く美しさがあります。
この花は実は装飾花と呼ばれる不稔花で、すべて観賞用に特化した形状をしています。
そのため実はつきませんが、長期間美しい花を楽しむことができます。
また、秋には葉が美しく紅葉し、一年を通じて庭に彩りを添えてくれます。
和風庭園はもちろん、洋風ガーデンにも馴染む汎用性の高さも魅力のひとつです。
オオデマリ自体には毒性はないと言われていますが、実に微量の毒があることで知られています。
誤って食べてしまうと、吐き気や腹痛、下痢、嘔吐を引き起こす可能性があります。
小さなお子さんやペットのいるご家庭では注意が必要です。
オオデマリの育て方

置き場所 | 日当たりから半日陰まで対応 |
用土 | 保水性と排水性のバランスの良い土 |
水やり | 地植え: 基本的に雨だけでOK 鉢植え: 表土が乾いたらたっぷりと |
肥料 | 寒肥と花後のお礼肥 |
オオデマリの置き場所は?
オオデマリは日当たりの良い場所を好みますが、半日陰でも十分育ちます。
ただし、日照不足が続くと花付きが悪くなる傾向があります。
風通しの良い場所を選ぶことで、病気の予防にもつながります。
オオデマリの用土は?
水はけと水持ちのバランスが取れた肥沃な土壌が理想的です。
土壌のpHは弱酸性から中性が適しています。
赤玉土5:腐葉土3:完熟堆肥2
上記の配合は、適度な保水性と排水性を両立でき、オオデマリの健全な成長を促進します。
オオデマリの水やりのコツ
地植えか鉢植えによって水やりのポイントが大きく変わります。
地植えの場合は、根付いた後は基本的に降雨のみで十分です。
ただし、夏の極度の乾燥時には補助的な水やりを行います。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。
特に開花期は水を多く必要とするため、水切れに注意しましょう。
オオデマリの肥料の与え方
オオデマリは比較的肥料食いではありませんが、美しい花を咲かせるためには適切な施肥が重要です。
2月頃に寒肥として有機質肥料(油粕や骨粉など)を株元に施し、花後の6月頃にお礼肥として同様の肥料を与えます。
オオデマリの植え付け・お手入れ・増やし方

オオデマリの植え替え・植え付け
オオデマリの植え替え・植え付けの適期は11月~3月の休眠期です。
この時期に植え付けることで、春からの生育期に向けてしっかりと根を張ることができます。
鉢植えの場合は、2~3年に一度、一回り大きな鉢に植え替えを行います。
オオデマリの剪定
オオデマリの剪定は、花後すぐ(6月下旬~7月上旬)がベストタイミングです。
オオデマリは前年の枝に花芽をつけるため、遅い剪定は翌年の開花に影響します。
- 花が終わった枝を花の下で切り戻す
- 混み合った枝を間引く
- 古い枝は根元から切り取る
オオデマリの増やし方
オオデマリは主に挿し木で増やすことができます。
挿し木の適期は6月頃で、その年に伸びた若い枝を10~15cm程度の長さで切り取り、挿し木用土に挿します。明るい日陰で管理し、約2ヶ月で発根します。
また、株元から出るひこばえを株分けで増やすことも可能です。
オオデマリの季節ごとの管理方法

季節 | 管理ポイント |
---|---|
春 | 新芽の生育を見守る・寒肥の効果で旺盛に成長 |
夏 | 極度の乾燥に注意・花後の剪定を忘れずに |
秋 | 紅葉を楽しむ・植え替えの準備時期 |
冬 | 寒肥を与える・剪定や植え替えに最適 |
オオデマリに発生しやすい病害虫と対策

オオデマリに発症しやすい主な病気
オオデマリは比較的病気に強い植物ですが、うどんこ病・褐斑病などに注意が必要です。
風通しを良くし、株元の風通しを改善することで予防できます。
落ち葉は病原菌の温床となるため、こまめに清掃しましょう。
オオデマリに発生しやすい主な害虫
アブラムシ・カイガラムシ・ハマキムシなどの被害を受けることがあります。
定期的な観察を行い、発見したら早めに駆除します。
特にアブラムシは新芽に発生しやすいため、春先は注意深く観察しましょう。
オオデマリのよくあるトラブルと対処法

トラブル①花が咲かない
オオデマリの花が咲かない原因として、剪定の時期が遅すぎた、日照不足、肥料不足などが考えられます。
花芽は前年の夏に形成されるため、7月以降の強剪定は避け、適切な施肥と日当たりの確保を心がけましょう。
トラブル②枝が折れやすい
オオデマリは大きな花房のため、雨や風で枝が折れることがあります。
支柱を立てる、花房を間引く、風当たりの強い場所を避けるなどの対策が有効です。
トラブル③葉が黄色くなる
葉の黄変は、水のやりすぎ、水不足、根詰まり、病気などが原因として考えられます。
土の状態を確認し、適切な水やりと風通しの改善を図りましょう。
根詰まりが疑われる場合は植え替えを検討します。
オオデマリの楽しみ方

切り花として楽しむ
オオデマリの大きな花房は、切り花としても非常に人気があります。花持ちも良く、生け花や フラワーアレンジメントの主役として活躍します。
切り花にする場合は、朝の涼しい時間帯に、茎を斜めに切って水に浸けると長持ちします。
庭木として楽しむ
単植でシンボルツリーとして植えるほか、生垣や境界植栽としても利用できます。他の花木と組み合わせることで、季節ごとに変化のある庭を演出できます。
特に和風庭園では、松や椿などの常緑樹との組み合わせが美しく映えます。
オオデマリのよくある質問(Q&A)
- Q鉢植えでも育てられますか?
- A
可能です。直径40cm以上の深めの鉢を使用し、2〜3年に一度植え替えを行ってください。コンパクトな品種を選ぶとより管理しやすくなります。
- Q花が終わった後はどうすればいいですか?
- A
花が茶色くなったら早めに花がらを摘み取り、その後適期に剪定を行います。
お礼肥も忘れずに与えましょう。
- Q移植は可能ですか?
- A
休眠期(11月〜3月)であれば移植可能です。
根鉢を崩さないよう注意深く掘り上げ、新しい場所にすぐに植え付けます。
オオデマリの花言葉と名前の由来

オオデマリの名前は、その花の形が手毬に似ていることに由来します。
英名の「Japanese Snowball」も、雪玉のような白い花房の美しさを表現しています。
花言葉は、「約束を守って」「私は誓います」「天国」です。
これらの花言葉は、オオデマリの純白で清楚な美しさと、毎年確実に美しい花を咲かせる信頼性から生まれたものと考えられています。
オオデマリのまとめ
- 適度な日当たりと風通しの良い場所で管理
- 花後すぐの剪定が翌年の開花の鍵
- 寒肥とお礼肥で美しい花を維持
- 切り花、庭木として多方面で活躍する万能選手
オオデマリは見た目の美しさと育てやすさを兼ね備えた、まさに理想的な庭木です。
一度植えれば毎年安定して美しい花を楽しめ、手間もそれほどかからないので、ぜひあなたのガーデンにも取り入れてみてください。
この春、オオデマリと一緒に上品で美しいガーデンライフを始めてみませんか?
その清楚で気品ある美しさに、きっと心を奪われることでしょう。
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