秋の空を背景に美しく色づくオレンジの実と、燃えるような紅葉で多くの人を魅了するカキ。
甘くてジューシーな果実は、生食はもちろん干し柿やジャムなど様々な楽しみ方ができ、日本の秋の風物詩として親しまれています。
丈夫で育てやすく、シンボルツリーとしても優秀で、収穫の喜びと観賞価値を兼ね備えた魅力的な果樹です。
今回はそんなカキについてご紹介します。
カキの基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
学名 | Diospyros kaki |
科名・属名 | カキノキ科 / カキノキ属 |
原産地 | 中国原産、日本で古くから栽培 |
分類 | 落葉果樹 |
樹高 | 3〜8m程度 |
開花時期 | 4月〜5月 |
収穫時期 | 9月〜11月(品種による) |
耐寒性・耐暑性 | 中程度(−15℃程度まで) / 強い |
カキの魅力と特徴
カキは秋にオレンジ色の美しい実を付ける代表的な果樹で、その甘い味わいは多くの人に愛されています。
広くて光沢のある葉は夏には緑陰を作り、秋には美しく紅葉する品種もあり、四季を通じて楽しめます。
果実は生食はもちろん、干し柿、ジャム、お菓子作りなど多様な用途があり、収穫の喜びとともに食卓を豊かにしてくれます。
比較的丈夫で育てやすく、家庭園芸でも人気の高い果樹です。
カキに毒はあるの?
カキの果実や葉に毒性はありませんが、渋柿の場合は大量のタンニンを含み、そのまま食べると強い渋みがあります。
未熟な実や渋柿を大量に摂取すると、胃腸に不快感を与える可能性があります。
ペットが大量に摂取した場合も消化不良を起こす可能性があるため、注意が必要ですが、基本的に安全な植物です。
カキの育て方
置き場所 | 日当たりがよく風通しのいい場所 |
用土 | 水捌けがよく肥沃な土壌 |
水やり | 夏は乾燥を避けるため土乾いたらたっぷり 冬は休眠期なので控えめに |
肥料 | 植え付け時に元肥として堆肥や緩効性肥料 3月と9月ごろについ日を行う |
柿の置き場所
日当たりが良く風通しの良い場所が最適です。
半日陰では実付きが悪くなります。
柿におすすめの用土
水はけの良い肥沃な土壌を好みます。
弱酸性〜中性(pH6.0〜7.0)が適しており、堆肥や腐葉土を混ぜ込んだ土が理想的です。
柿の水やり
夏は乾燥を避けるため、土が乾いたらたっぷりと水やりします。
冬は休眠期のため控えめにしますが、極度の乾燥は避けます。
柿の肥料は?
植え付け時に元肥として堆肥や緩効性肥料を施します。
春(3月)と秋(9月)に追肥を行い、実付きを良くするためにはリン酸とカリを多めに施します。
カキの植え付け・植え替え・増やし方
柿の植え替え・植え付けの適期は、落葉期の冬(12月〜2月)または春先(3月〜4月)が植え付けが理想的です。
根っこが動き始める前に植え替えておくことで、植物にかかる負担をグッと減らすことができ、
枯れるリスクを減らすことができます。
寒冷地では冬の寒さのダメージを減らすために、春植えが安全です。
また、植え付け穴は根鉢の2倍程度の大きさで掘り、堆肥や腐葉土をたっぷりと混ぜ込みます。
根を傷めないよう注意し、接ぎ木部分は地面より上に出るように植え付けます。
植え替えは、地植えであれば基本的に不要です。
鉢植えの場合は2〜3年に一回程度、根詰まりしたら一回り大きな鉢に植え替えましょう。
カキの増やし方
カキを増やす方法は、「挿し木」と「種まき」の二つの方法が一般的です。
ただし、挿し木の難易度は高く、特定の状況下でないと発根しにくい植物です。
挿し木 | 休眠期の挿し木(成功率は低め) |
種まき | 実生からも育てられるが、親と同じ性質は期待できない |
もし、親と同じような実を収穫したいのであれば、台木を用意する手間がありますが、接木がおすすめです。
カキの季節ごとの管理方法
季節 | 管理ポイント |
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春(3〜5月) | 剪定・施肥・水やり開始。開花期の花の管理 |
夏(6〜8月) | 水切れ注意・追肥・病害虫対策・摘果作業 |
秋(9〜11月) | 果実の収穫時期・収穫後の剪定検討 |
冬(12〜2月) | 休眠期・剪定作業・樹体整理・防寒対策 |
カキに発生しやすい病害虫とその対策
カキに発症しやすい病気
炭そ病: 葉や実に黒い斑点が現れる。風通しを良くし、発病初期に殺菌剤散布。
すす病: アブラムシの排泄物が原因で葉が黒くなる。害虫駆除が根本的な対策。
うどんこ病: 葉が白く粉を吹く。風通し改善と殺菌剤の予防散布が効果的。
カキに発生しやすい害虫
カミキリムシ: 幹に穴を開ける深刻な害虫。幹への薬剤注入や捕殺で対応。
カイガラムシ: 枝に付着し樹勢を弱める。ブラシで除去または薬剤散布。
アブラムシ: 新芽に発生。早期発見・駆除が重要。
カキによくあるトラブルと対処法
トラブル①実が落ちる
着果時の水不足や栄養不足、過剰な肥料が原因です。
水やりと施肥のバランスを調整し、適切な摘果を行いましょう。
トラブル②葉が黄色くなる
水切れや肥料不足、病気の可能性があります。
土壌の状態を確認し、状況に応じて水やりや施肥、病害虫対策を行います。
トラブル③実が甘くならない
日照不足や樹勢が弱いことが影響しています。
剪定で日当たりを改善し、適切な施肥で樹勢を回復させましょう。
カキのおすすめ品種
‘富有(ふゆう)’
富有は、甘くて果肉が柔らかく、大玉で食味が優秀な品種です。
国内で最も人気の高い完全甘柿品種です。
‘次郎(じろう)’
次郎(じろう)は、固めの実で貯蔵性に優れ、甘みが強い完全甘柿の品種です。
収穫してからも日持ちが良いのが特徴です。
‘西条(さいじょう)’
西条(さいじょう)は、渋柿の代表品種です。
独特の渋みがあるが、干し柿などの加工用に人気のある品種です。
‘筆柿(ふでがき)’
筆柿は、形が筆先に似ている不完全甘柿の品種になります。
生食や干し柿にも人気の品種です。
カキの楽しみ方
シンボルツリーとして
秋の美しい実と紅葉で、庭のシンボルツリーとして存在感を発揮します。和風にも洋風にも合います。
収穫を楽しむ家庭果樹
生食はもちろん、干し柿作りやジャム作りなど、様々な加工を楽しめる実用性の高い果樹です。
しかし、果実が実るのは、8年(接木苗で3〜4年)かかると言われています。
秋の庭の彩りに
マリーゴールドやコスモスなどの秋の花と組み合わせて、季節感あふれる庭作りができます。
鉢植えでコンパクトに
矮性台木を使用した苗なら、大型鉢での栽培も可能で、ベランダでも収穫を楽しめます。
カキ栽培Q&A
- Q柿はどのくらいで実がなりますか?
- A
苗木から約5〜8年で実を付け始めます。
接ぎ木苗の場合3〜4年程度、より早く実が付くことが多いです。
- Q渋柿を甘くするにはどうすればいいですか?
- A
収穫後にアルコールや二酸化炭素処理で渋抜きができます。干し柿にすることで自然に甘くなります。
- Q冬の寒さ対策は必要ですか?
- A
−10℃以下になる地域では、根元のマルチングや幼木の場合は防寒対策が望ましいです。
カキの豆知識や名前の由来
「柿」は古くから日本で親しまれ、その名前は果実の「赤き(あかき)」が転じて「かき」になったという説があります。
また、果実の甘さから「幸(さち)」に通じる縁起の良い果物とされています。
学名の「Diospyros」は「神の果実」という意味で、古代ギリシャ語に由来します。
英名では「Persimmon」と呼ばれ、アメリカにも伝わって現地で品種改良が進みました。
中国から日本に伝わったのは奈良時代頃とされ、平安時代にはすでに広く栽培されていました。
干し柿文化も古くから続き、保存食として重要な役割を果たしてきました。
花言葉は「自然美」「招福」「親しみやすさ」で、その美しい実と親しみやすい味わいから生まれた意味です。
カキのまとめ|年間栽培スケジュール
月 | 作業内容 |
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2〜3月 | 剪定と植え付け・追肥 |
4〜5月 | 開花・受粉管理・病害虫対策開始 |
6〜8月 | 水やり・追肥・病害虫対策・摘果 |
9〜11月 | 果実の収穫・渋抜き開始 |
12〜1月 | 休眠期・防寒対策・マルチング |
- 日当たりと風通しの良い場所で健全な生育を
- 適度な水やりと施肥で樹勢を維持する
- 病害虫は早期発見・早期対処が成功の鍵
- 摘果作業で品質の良い大玉を収穫
- 秋の収穫後は剪定で翌年の実付きに備える
カキは日本の秋を代表する果樹で、美しい実と紅葉の観賞価値と、収穫の楽しみを兼ね備えた魅力的な植物です。
比較的丈夫で育てやすく、長期間にわたって家族で収穫を楽しめる家庭果樹として最適です。
古くから日本人に愛され続けてきたカキで、四季の移ろいと豊かな収穫を楽しむ、充実したガーデンライフを送ってみてください。
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