メタリックな光沢を放つ美しい花弁で人気のアークトチス。
南アフリカ原産のこの花は、日本の春の庭に鮮やかな彩りを添えてくれます。
本記事では、初心者でも失敗しないアークトチスの育て方を詳しく解説します。
アークトチスの基本情報

学名 | Arctotis |
科名・属名 | キク科 / アークトチス属 |
原産地 | 南アフリカ |
分類 | 多年草(日本では一年草扱い) |
草丈 | 20〜40cm |
開花時期 | 4〜6月頃(温暖地では秋にも開花することあり) |
耐寒性・耐暑性 | やや弱い / 強い |
アークトチスの魅力的な特徴
アークトチスの最大の魅力は、光を反射するようなメタリックな花弁です。
オレンジ、黄色、白、ピンクなどビビッドな花色が豊富で、草丈もコンパクトにまとまります。
面白い性質として、日差しの強い日中にしっかりと花が開き、曇りや夜は閉じる習性があります。
この開閉運動も観賞の楽しみのひとつと言えます。
アークトチスは、植物にしては珍しく毒は無いと言われています。
そのため、ペットや小さなお子さんがいるご家庭でも安心して育てることができます。
アークトチスの育て方

置き場所 | 日当たりが良く風通しの良い場所 |
用土 | 水捌けがよく、栄養分が過剰で無い用土 |
水やり | 乾燥気味で管理 |
肥料 | 開花シーズンに月に1〜2回 |
置き場所(日当たり・風通し)
アークトチスは日当たりと風通しが良い場所を好みます。
日照時間が短いと花が開かないため、一日中よく日の当たる場所を選びましょう。
風通しの悪い場所では病気が発生しやすくなるため注意が必要です。
土づくり
水はけが良く、栄養が過剰でない土を好みます。
市販の草花培養土に川砂やパーライト2割程度を加えることで、理想的な土環境を作ることができます。
過度に肥沃な土では徒長しやすくなるため、やや痩せた土の方が適しています。
水やりの方法
乾燥気味に管理することが重要です。
土がしっかり乾いてからたっぷりと水を与えましょう。
過湿には非常に弱く、根腐れの原因となるため、水のやりすぎには十分注意してください。
肥料の与え方
元肥を少なめに施し、花期中は控えめに液体肥料を月1〜2回程度与える程度で十分です。
肥料が多すぎると徒長しやすくなり、花つきも悪くなります。
アークトチスの種まき・植え付け・植え替え

種まきの時期と方法
種まき適期は9〜10月(秋まき)または3月ごろ(春まき)です。
秋まきの方が株がしっかりと育ち、春に美しい花を咲かせます。
定植のタイミング
本葉が4〜5枚になったころがポット苗を植え付ける適期です。
株間の目安は20〜30cmとし、適度な間隔を保って植え付けましょう。
植え替えについて
多年草として扱う場合、梅雨前に掘り上げて夏越しさせるか、夏枯れ後に更新するのが一般的です。
しかし日本の気候条件を考えると、一年草として扱う方が現実的といえます。
アークトチスの季節ごとの管理方法

季節 | 管理ポイント |
---|---|
秋 | 種まき。育苗中は過湿に注意 |
冬 | 寒さにやや弱いため霜除けまたは室内で管理 |
春 | 成長期・開花期。花がら摘みで花期延長 |
夏 | 高温多湿で枯れやすい。梅雨以降は管理困難 |
本来は多年草ですが、日本の夏に耐性がないため、基本的には一年草として扱うと栽培に無理がなく、毎年美しい花を楽しむことができます。
アークトチスに起こりやすい病害虫とその対策
アークトチスが発症しやすい病気
過湿に弱い傾向があるため、灰色かび病や根腐れが発生しやすい病気です。
適度に剪定をしたりして風通しを良くし、乾燥気味の管理を心がけることが最良の予防策となります。
アークトチスに発生しやすい害虫
アブラムシ・ハダニが主な害虫です。
水やり時に葉に水をかけたり、発見次第早期駆除を行いましょう。
駆除が追いつかなくなったら農薬の利用も考えましょう。
予防のポイント
茂りすぎた株元は風が通りにくくなりやすいので、適度な間引きや剪定を行うことで、病害虫両方の発生を予防することができます。
アークトチスのよくあるトラブルと対処法

トラブル①花が開かない
花が咲かない原因は主に日照不足と肥料不足が考えられます。
アークトチスのような一年草の場合は、新しい用土を使用している場合肥料不足の可能性は低くなるため、まずは、よく日の当たる場所へ移動させて様子を見てみることが大切です。
いきなり日当たりの良い場所に移動すると、日差しの強さで葉焼けを起こしてしまうことがあるため徐々に明るい環境に移動させることが大切です。
トラブル②葉が黄色くなる
葉が黄色くなる原因は、過湿、または肥料のやりすぎ、急激な環境の変化などが考えられます。
置き場所を変えていないのであれば、水やりや施肥を控えめにすることで改善する場合があります。
改善しないようであれば、根腐れを起こしている可能性もあるため、植え替えをするのも一つの方法です
トラブル③徒長する
徒長する原因は、肥料バランスの崩れ(肥料過多)や日照不足が考えられます。
急激に肥料を与えると、急激な成長をして徒長する場合と
日光にあたろうと徒長していくパターンがあります。
徒長してしまった場合は、元には戻らないため切り戻しを行いましょう。
徒長を予防するためには、肥料分の控えめな管理を意識し、日当たりのいい場所で管理するようにしましょう。
アークトチスのおすすめの品種やバリエーション

グランディス
シルバーリーフと白花が上品で人気の品種です。
ガーベラに似た白花で、中心が青紫になっていて、美しい花です。
ダークレッド
深みのある赤が印象的な品種で、呼び方はダークレッドやダークワインと呼ばれていたりします。
まだ比較的新しい品種でアークトチスには珍しいカラーとなっています。
レッド系のアークトチスを購入するならJunk sweet Garden tef*tef*がおすすめです。
アカウリス
草丈が約20~30cmの矮性種です。
花の色はオレンジ、黄色、サーモンピンク、クリーム色などがあり、多くの園芸品種が流通しています。
ハーレクイン
シルバーグレーのリーフにワインレッドカラーの花を咲かせてくれます。
花だんや寄せ植えのポイントにお勧めです
アークトチスの楽しみ方

ガーデンでの活用法
アークトチスは矮性品種が多く、花壇の前景として、パンジー・ネモフィラ・リナリアと合わせると春の彩り豊かな花壇を作ることができます。
鉢植えでの楽しみ方
鉢植えにして移動管理することで、天候による花の開閉を間近で楽しむことができます。
ロックガーデンにも最適
乾燥に強い性質を活かし、ロックガーデンでの栽培にも向いています。
サボテンやアガベなどの組み合わせるのもおすすめです。
アークトチスの栽培Q&A

- Q毎年咲く?
- A
多年草ですが、日本の高温多湿に弱く、基本的に一年草として育てることをおすすめします。
- Q曇りの日に花が閉じてるけど異常?
- A
正常です。アークトチスは光に反応して開閉する性質を持っています。
- Q花が咲かないのはなぜ?
- A
日照不足または肥料過多が主な原因です。
日当たりと施肥を見直しましょう。
アークトチスの豆知識や名前の由来

アークトチスの名前は、ギリシャ語の「arctos(クマ)」+「otis(耳)」=「クマの耳」に由来します。
花の形が熊の耳に似ていることからこの名前がついたとされています。
英名ではAfrican daisy(アフリカンデイジー)と呼ばれることもあります。
花言葉は「愛の誠実」「希望」など前向きな意味を持っており、贈り物としても人気です。
アークトチスのまとめ|年間栽培スケジュール
月 | 作業内容 |
---|---|
9〜10月 | 種まき、育苗、定植(秋まき) |
11〜2月 | 軽めの水やり。寒風対策をする |
3〜6月 | 開花期。花がら摘みと追肥で花数アップ |
7〜8月 | 枯れ込みやすいため、撤去または掘り上げ管理 |
育てるコツまとめ
- 日当たり命! 明るい場所で育てることが成功の鍵
- 肥料と水は控えめ が基本の管理方針
- 多湿が苦手 なので梅雨以降の管理は要注意
- 鮮やかな色 で春のガーデンを華やかに演出しよう
アークトチスは適切な環境で育てれば、初心者でも美しい花を楽しむことができる魅力的な植物です。メタリックな輝きを放つ花弁の美しさを、ぜひあなたの庭でも体験してみてください。
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