美しいシルバーグリーンの葉と、地中海風の洗練された樹形で多くの人を魅了するオリーブ。
観葉植物としてはもちろん、実を収穫して食用やオリーブオイルを楽しむことも可能で、実用性と美観を兼ね備えた魅力的な植物です。
常緑樹として一年中美しい姿を保ち、平和の象徴としても親しまれ、モダンガーデンからナチュラルガーデンまで幅広いスタイルに適応します。
今回はそんなオリーブについてご紹介します。
オリーブの基本情報

項目 | 内容 |
---|---|
学名 | Olea europaea |
科名・属名 | モクセイ科 / オリーブ属 |
原産地 | 地中海沿岸・西アジア |
分類 | 常緑高木 |
樹高 | 2〜10m程度(剪定により調整可能) |
開花時期 | 5月〜6月 |
収穫時期 | 9月〜11月(品種による) |
耐寒性・耐暑性 | やや強い / 強い |
オリーブの魅力と特徴
オリーブは美しいシルバーグリーンの細長い葉が最大の特徴で、風に揺れる様子は地中海の風景を連想させます。
常緑樹なので一年中美しい葉を楽しめ、5月頃には小さな白い花を房状に咲かせ、秋には緑から紫黒色に変わる実を収穫できます。
樹形は自然に美しく整い、剪定により様々な仕立て方が可能で、鉢植えでも地植えでも楽しめる汎用性の高い植物です。
耐乾性が強く、一度根付けば手間のかからない丈夫さも魅力の一つです。
オリーブに毒はあるの?
オリーブの実や葉に毒性はありませんが、生の実はアクが強くそのまま食べることはできません。 実を食用にする場合は、アク抜き処理が必要です。
葉は乾燥させてハーブティーとして利用することもできます。
ペットや小さなお子さんが実を大量に食べると消化不良を起こす可能性があるため、注意は必要ですが、基本的に安全な植物です。
オリーブの育て方

オリーブの置き場所・植え付け場所
日当たりと風通しの良い場所を好みます。
少なくとも1日6時間以上の直射日光が当たることが理想的です。
オリーブのおすすめの用土は?
オリーブは地中海沿岸に分布しているため、水はけの良い弱アルカリ性〜中性の用土を好みます。
鉢植えの場合は、赤玉土5+腐葉土3+川砂2に石灰を少量加えた配合がおすすめです。
地植えの場合は、土づくりの時にくん炭や石灰などを混ぜ込みましょう。
オリーブの水やりの方法は?
オリーブの水やりは、地植えの場合根付いた後は自然の雨でほぼ十分です。
鉢植えでは土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。
基本的に常緑なので、冬場でも水を必要としますが、他のシーズンと比べて水やりの回数は減らすようにしましょう。
オリーブの肥料の与え方
春と秋に緩効性肥料を施します。
実付きを良くしたい場合は、開花前にリン酸系肥料を追加します。
オリーブの植え付け・植え替え・増やし方

オリーブの植え付け・植え替えの時期は、春(4月〜5月)が理想です。
秋(9月〜10月)も適期ですが、すぐに冬がきてしまうため、少し管理が難しくなります。
初心者の方や安全に植え替えや植え付けを行いたい場合は春に行いましょう。
植え付ける時は、地植えの場合は根鉢の2倍程度の植え穴を掘り、水はけを良くするため腐葉土を混ぜ込みます。
鉢植えでは10号鉢以上の大きな鉢を用意し、鉢底石をしっかりと敷きます。
植え替えは、2〜3年の頻度で一回り大きな鉢に植え替えましょう。
そのままのサイズで育てたい場合は、根っこをほぐして、根っこの量を調整する方法もあります。
オリーブの増やし方
オリーブは挿し木で増やすのが一般的です。
6月〜7月に剪定した枝を挿し木にして増やすことで手軽に増やすことができます。
オリーブの季節ごとの管理方法

季節 | 管理ポイント |
---|---|
春(3〜5月) | 植え付け・剪定・施肥。新芽の成長を見守る |
初夏(5〜6月) | 開花期・摘心・病害虫対策 |
夏(7〜8月) | 水やり管理・実の肥大期 |
秋(9〜11月) | 収穫期・施肥・植え替え |
冬(12〜2月) | 剪定適期・防寒対策(寒冷地) |
オリーブに発生しやすい病害虫とその対策

オリーブに発症しやすい病気
炭そ病: 葉に黒い斑点が現れる。風通しを良くし、薬剤散布で予防。
すす病: アブラムシの排泄物が原因。害虫駆除が根本的な対策。
がんしゅ病: 枝に瘤ができる細菌病。感染部位を切除し、傷口を消毒。
オリーブに発生しやすい害虫
オリーブアナアキゾウムシ: 幹に穴を開ける深刻な害虫。見つけ次第駆除。
カイガラムシ: 枝や葉に付着。ブラシで除去または薬剤散布。
アブラムシ: 新芽に発生。早期発見・駆除が重要。
オリーブによくあるトラブルと対処法

トラブル①実が付かない
自家不和合性のため、異なる品種を近くに植える必要があります。
または人工授粉を行うことで実付きを改善できます。
トラブル②葉が黄色くなって落ちる
水のやりすぎや根詰まりが原因の可能性があります。
排水を改善し、必要に応じて植え替えを行いましょう。
トラブル③枝が伸びすぎる
定期的な剪定が不足している状態です。
冬季に不要枝を切除し、樹形を整えましょう。
オリーブのおすすめ品種

‘ミッション’
オリーブ・ミッションは、実付きが良く、オイル用・テーブル用両方に利用できる万能品種。
樹形も美しく、観賞価値も高くおすすめの品種です。
‘マンザニロ’
オリーブ・マンザニロは、スペイン原産の大実品種。
テーブルオリーブに最適で、比較的寒さにも強い特徴があります。
‘ルッカ’
オリーブ・ルッカは、イタリア原産のオイル用品種。
小粒ですが風味が良く、樹形がコンパクトで鉢植えに適しています。
‘ネバディロ・ブランコ’
ネバディロ・ブランコは、花粉の多い品種で、他の品種の受粉樹として重宝されます。
観賞用としても美しい品種です。
オリーブの楽しみ方

シンボルツリーとして
玄関先や庭の中央に植えて、住宅の顔となるシンボルツリーとして活用できます。
モダンな外観によく合います。
地中海風ガーデンで
ラベンダーやローズマリーなどのハーブ類と組み合わせて、地中海風のガーデンを演出できます。
実の収穫を楽しむ
2品種以上植えることで実の収穫が可能になり、自家製オリーブオイルやピクルス作りを楽しめます。
鉢植えでベランダガーデンに
大型の鉢に植えて、ベランダやテラスでの鉢植えガーデンの主役として活用できます。
オリーブ栽培Q&A

- Q1本でも実は付きますか?
- A
オリーブは自家不和合性が強いため、基本的に異なる品種を2本以上植える必要があります。
ただし、’ミッション’など一部の品種は1本でも実付きする場合があります。
- Q室内でも育てられますか?
- A
明るい窓辺なら短期間は可能ですが、基本的に屋外の日当たりの良い場所での栽培が適しています。
- Q剪定はいつ行えばいいですか?
- A
12月〜2月の休眠期が剪定適期です。
この時期に不要枝や混み合った枝を整理し、樹形を整えます。
オリーブの豆知識や名前の由来

オリーブ(Olive)の名前は、ラテン語の「oliva」に由来し、古代から地中海沿岸の人々に愛用されてきた植物です。
旧約聖書のノアの方舟の物語では、鳩がオリーブの枝をくわえて帰ってきたことから、平和の象徴とされるようになりました。
また、古代ギリシアでは勝利者にオリーブの冠が与えられ、現在のオリンピックでも平和の象徴として使用されています。
オリーブオイルは「液体の黄金」と呼ばれ、古代から食用油として重宝されただけでなく、薬用や美容、燃料としても利用されてきました。
花言葉は「平和」「知恵」「勝利」「安らぎ」など、その歴史的背景から生まれた崇高な意味を持っています。
オリーブのまとめ|年間栽培スケジュール
月 | 作業内容 |
---|---|
3〜4月 | 植え付け・植え替え・施肥 |
5〜6月 | 開花・受粉・病害虫対策 |
7〜8月 | 水やり管理・実の管理 |
9〜10月 | 収穫・秋の施肥 |
11〜12月 | 剪定準備・防寒対策 |
1〜2月 | 剪定作業・休眠期管理 |
- 日当たりと水はけの良さが健康な成長の鍵
- 実の収穫には異品種2本以上の植栽が必要
- 定期的な剪定で美しい樹形を維持
- 地中海性気候を意識した乾燥気味の管理
オリーブは美しいシルバーリーフと実用性を兼ね備えた、非常に魅力的な常緑樹です。 観賞価値の高さと丈夫さで初心者にも育てやすく、長期間にわたって庭のシンボルとして活躍してくれます。 平和の象徴としての歴史的意味も含めて、心豊かなガーデンライフを演出してくれるオリーブで、上質な住環境作りにチャレンジしてみてください。
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