愛媛県内の一部地域(今治市・西条市)で、2023年12月からある外来植物が深刻な問題になっています。
その名は「ナガエツルノゲイトウ」

一見するとただの緑の草に見えるかもしれませんが、じつは“地球上で最悪の侵略的植物”といわれるほど、強力な繁殖力と環境への影響を持っています。
今回は、ナガエツルノゲイトウの特徴や生態、そして県が進めている対策についてわかりやすくご紹介します。
問題となっている植物「ナガエツルノゲイトウ」とは?

ナガエツルノゲイトウは、南米原産の多年草の水草です。
正式には Alternanthera philoxeroides と呼ばれ、日本では特定外来生物に指定されています。
主な特徴は以下のとおりです。
- 水辺や湿地を好んで広がる
- 地面を覆い尽くすほど密に繁茂する
- 茎や根の一部からでも再生するため、簡単には枯れない
- 種子ではなく、断片からの栄養繁殖で急速に広がる
この植物が厄介なのは、ほんの一片が水に流れるだけで、別の場所で簡単に根付いてしまうことです。
愛媛県内でのナガエツルノゲイトウ確認状況
愛媛県では、2022年12月に今治市の猿子川でナガエツルノゲイトウが初めて確認されました。
その後、2023年1月には西条市の新川でも定着が確認され、現在も広がりが懸念されています。
他にも、2023年2月の農林水産省の発表では、茨城、埼玉、東京、千葉、神奈川、山梨、静岡、三重、福井、滋賀、奈良、京都、大阪、兵庫、鳥取、島根、山口、香川、徳島、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島、沖縄の25都道府県で定着が確認されていました。
これまでの経緯や植物の特徴からみても、一度定着すると完全な駆除が極めて難しい植物であることがわかります。
ナガエツルノゲイトウを放っておくとどうなる?
ナガエツルノゲイトウが広がると、さまざまな問題が生じます。
- 河川や水門を覆い、水の流れが滞る
- 洪水や内水氾濫のリスクが高まる
- 他の水生植物や生き物の生息地を奪い、生態系を乱す
特に台風や大雨の多い地域では、洪水防止の観点からも重大な脅威となります。
愛媛県の対応と対策計画
こうした状況を受けて、愛媛県では「ナガエツルノゲイトウ分散防止の実施計画」を策定しました。
計画のポイントは以下の通りです。
- 県が中心となって侵入状況の監視を行う
- 早期発見・早期対応で引き抜き・排除を徹底
- 引き抜いた植物は焼却やその場で枯死処理
- 根や茎の断片が残らないよう、細心の注意を払って処理
- 土壌の移動時は、車両や人への付着物もチェック
- 市町や民間団体と連携し、監視体制を構築
また、県内の職員を対象とした研修会も実施し、現場対応力を強化していく予定としています。
ナガエツルノゲイトウを見かけても、決して草刈り機などで対処はNGとされています。
繁殖力が強く、残った破片で生息地域を拡大していまう可能性があります。
私たちにできることは?

このナガエツルノゲイトウに限らず、外来種問題は県や市町だけでなく地域全体で取り組むべき課題です。
私たち一人ひとりにできることもあります。
- 観賞用植物をむやみに自然に放さない
- 川や池で見慣れない植物を見つけたら、自治体に通報する
- 川辺の活動後は、靴や道具に植物片が付いていないかチェックする
- 庭で育てている植物が外来種でないか調べてみる
ナガエツルノゲイトウのような外来植物は、人間の活動を通じて拡散されやすいという特徴があります。
だからこそ、私たちのちょっとした配慮が大きな防波堤になるのです。
まとめ
ナガエツルノゲイトウは、見た目は地味ながらも自然環境や防災面に大きな影響を及ぼす厄介な植物です。
外来種問題は、実際にその被害が出始めており、これ以上の拡散を防ぐためには、行政と住民が一体となって取り組む必要があります。
自然を守るのは、特別な誰かではなく私たち自身です。
「気づいたら行動する」その一歩が、地域の未来を守ることにつながります。
見かけたら、SNSでシェアするだけでも、環境保護の手助けになるので、できることから試してみてはいかがですか?
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